日記ログ
9月24日

夜中の十時頃でしょうか、やけに家の周りが騒がしいなと思い、テレビを消してじっと耳を澄ましていると、 何か無線でやりとりするような声やマンションの裏手を歩き回るような音が聞こえてきます。そっとベランダ のカーテンをめくって外を覗いてみると、パトカーの赤色灯らしい光が目に入りました。やけに物々しい 雰囲気に恐れをなしたものの、何があったのか確かめないことには余計に不安だったので、外に出て様子を 窺うことにしました。マンションの周りにはパトカーが二台と白バイが一台停まっています。裏手は大家さん の家になっていて、その前で警察官と話をしている大家さんの姿を見つけました。いそいそと近寄って挨拶し、 何があったのか尋ねてみると、「空き巣だよ、空き巣」と傍らにいた警察官の一人が教えてくれました。
「ええっ、どこの部屋ですか?」「ほら、そこ」警察官が指差したのは、何と僕の隣室でした。ひええ。
その部屋のガラス戸は開け放たれ、中では鑑識がライトでも使っているのか、やけに眩しい光が漏れています。 僕が隣に住んでいると聞いた警察官は、何か不審な物音は聞かなかったかと尋ねてきましたが、残念ながら まるで気付きませんでした。その答えに警察官は少し残念そうでしたが、それ以上重ねて追及してくることは ありませんでした。いつものように一日中家にいれば何か物音を耳にしたかもしれませんが、この日は偶々 午後から外出していたのです。残念なような、面倒なことに巻き込まれなくて少しほっとしたような、複雑 な気分です。更に詳しく話を聞いていると、どうやら空き巣が侵入した手口は、僕が少し前に小説で書いた やり方とかなり似ていることが分かり、また複雑な心境となりました。空き巣を防ぐには補助錠を付けた方が いい、というアドバイスをされたので、翌日、さっそく近所の大工センターに行って購入することにしました。 それにしても、小説に書いている分にはどんな過激な事件でも平気なものですが、やはり実際に事件に遭遇 すると、たとえ空き巣でも不安で嫌〜な気分になりますね。

9月17日

近所にあるリサイクルショップの前を通りかかったとき、ふと、入り口脇に貼り出された「PCジャンク品買い取り」という看板が目に止まりました。反射的に思い浮かんだのは、未だに我が家に鎮座している壊れたCRTディスプレイのことです。四十センチ四方のこの物体は非常に邪魔なのですが、ご存じの方も多いと思われますが、粗大ゴミとして捨てるわけにもいかず、回収してもらうには専門業者に連絡して4200円も払う必要があるのです。金がもったいないのと面倒なので、多少邪魔でも実生活に支障がないことですし、未だに部屋の片隅に置いてあるのですが、もし無料で引き取ってくれるというのなら是非お願いしたいところです。そこでさっそく店に入り、カウンターにいた若い男の店員さんに恐る恐る尋ねてみました。ほとんどゴミ同然の物体だと自分でも分かっているので、もし難色を示すようならすぐに諦めるつもりです。しかし、ディスプレイの状態を詳しく聞いた店員さんは、買い取りは無理だけど只なら引き取っていい、と答えてくれました。いやあ、素晴らしい。世の中、探してみれば案外上手い話は転がっているものですね。その日は雨が降っていたので、後日運んでくることを満面の笑みで約束して、店を後にしました。 その二日後、しばらく降り続いていた雨も止みましたので、さっそくディスプレイを店に持っていくことにしました。いざ抱えてみると、これが重いこと重いこと。少し肌寒いくらいの気温だったのに、マンションの出口まで運ぶだけで汗が噴き出てきます。まあ、僕が貧弱なだけなのかもしれませんが、これではとても店まで運べそうになかったので、無理やり自転車の前カゴに載せ、ふらふらと転倒しそうになりながらも、何とか運んでいきました。慎重にディスプレイを店先に置き、店員さんを呼びに行きます。今日は先日のお兄ちゃんではなく、女性の店員さんで、何やら値引き交渉をしているらしい他のお客さんの相手をしていました。その交渉が終わるのを待ちながら、只で引き取ってもらうだけじゃ悪いから何か買っていこうかな、などと思いながら店内を見回していました。やがて、交渉が成立してお客さんが帰ったところで、さっそく店員さんに声をかけて先日のことを説明し、店先のディスプレイの場所まで案内します。いやあ、本当に助かります、などとお礼の言葉まで考えていたのですが、店員さんの様子がどうも変です。明らかに困惑した表情を浮かべていました。 「あの、こういうのって処分するときに手数料がかかりますよね?」と聞かれ、嘘を吐くわけにもいかないので「四千円くらいかかりますね」と答えると、「・・・ちょっと、只で引き取るというわけには」と更に困った顔。むむむ、予定と違う反応にこちらも困ってしまいましたが、ここまで運んできた以上、この際、手数料を払って引き取ってもらおうかと考えていると、「それに、うちで引き取る場合は色々と手続きが面倒なんで倍以上の手数料がかかりますよ」という追い打ちの言葉が。「倍って、八千円くらいですか」「まあ、そうですね」ふんがー、そんなに払えるはずがありません。仕方なく、それじゃあ持って帰ります、と答え、再びディスプレイを自転車に載せ直しました。「わざわざ運んでくれたのに本当に済みません」という店員さんのお詫びの言葉を背中に受けながら、とぼとぼと家路につきました。つまり、こういうことです。世の中、探してみても上手い話なんてそうそう転がっているわけではない、と。

9月10日

ぼんやりインターネットを見ていますと、我が家の最寄り駅の隣駅に駅ビルが建ったという情報がありました。ついこの間までは何もない寂しい駅だった筈なのに、ネットで見る限りはかなり立派なビルのようです。これは一度見に行ってみなくてはと思い、散歩がてら直接歩いていってみることにしました。随分と涼しく過ごしやすい季節になったので、帽子も被らず正午前に家を出たのですが、これが大失敗。この日に限って、まるで盛夏のような暑さで、半分も歩かないうちに汗が滴り落ち始めました。もう帰ろうかなあとげっそりしながらも、ここで引き返しては汗をかいただけ損をしたことになると思い、頑張って急な坂道を踏みしめながら進んでいきます。三十分ほどでやっと到着したのですが、うーん、想像してたのと違うなあ・・・。富士山に登ったつもりだったのが高尾山だった、という感じです。しかも、ビルの上半分は大きなスポーツクラブが占めており、当然ながらそんなところに用はなく、数少ない他のテナントで興味が惹かれるのは書店と喫茶店くらいなものでした。 とりあえず書店をぶらっと回ってから、喫茶店で一休みすることにしたのですが、店内禁煙なんですよ、これが。ゆっくり休む間もなくさっさとアイスコーヒーを飲み干し、駅ビルを出て強い日差しに炙られながら一服し、とぼとぼと帰途についたのでした。しかも帰りに道に迷うし・・・。

9月3日

中学時代に髭を剃るようになってから、祖父が買ってくれたブラウンを最初に、ずっと電気シェーバーを使い続けてきました。祖父も父も電動シェーバーを使っていて、それを見て育った僕が同じ方法を選ぶのがごく自然な流れ でもあったのですが、髭が濃いわりに皮膚が薄いらしく安全カミソリを使うとすぐに肌が切れてしまう、という 理由もありました。そんなわけで、長らく安全カミソリに全く興味がなかったのですが、つい先日、友人から最近 のは凄いという話を聞き、ちょっと使ってみたくなりました。何しろ、四枚刃の上に電池で振動するというのです。深剃りもばっちりという話は、一日髭を剃らないとあっという間に無精髭が生える僕にとって、非常に魅力的 でもありました。電動シェーバーだと構造的に0.5ミリは髭が残るんですよね。早速、近所のドラッグストアで 最新式の安全カミソリとプレシェーブジェルを購入、帰ってすぐに剃ってみることにしました。乾いた髭は銅線 と同じ硬さがある、などという初耳の話を聞きつつ、充分に髭を湿らせてから、まずは友人のアドバイスに従って順剃りをしてみました。・・・んー、期待したほど深剃りでもありませんね。仕方ないので、覚悟を決めて掟破り の逆剃りをしてみることにします。おお、切れました切れました、髭も肌も。五、六ヶ所の肌が切れて血が滲んで います。確かに深剃りはできても、毎回切り傷ができるのは大変だなあ、と染みる痛みを我慢しながらアフター シェーブローションを塗りつつ、今後はどちらを使うか迷うことになりました。

戻る
Copyright(c)2005 susidaa All rights reserved / Link Free